いよいよママに

戻る

予定日を過ぎてもなかなか出てくる気配もなく、私が以前腎機能障害を患っていた事もあり
先生の判断で「一週間過ぎたらとにかく産みましょう」、と言う事になりました


自然な陣痛を楽しみにしていましたが、この時にはもう何も拘らない気持ちになっていました。

理想と違ってもいい、あるがまま、すべてがありがたい嬉しい出来事だとわかったから。


まだお腹でのんびりしたい赤ちゃんに「ごめんね最初から大人の都合で振り回しちゃうね」
と謝って、幸せな痛みの始まりです

分娩室に移ってからも、まだまだ時間がかかります。

痛くなかったと言えば嘘になりますが、それよりも嬉しさが大きかった。

一人ではないという確かな感覚。お腹の子供も、一大イベントに緊張しているに違いない

そう思うと、不思議な連帯感が生まれました。一緒にがんばろう、そう思えました。


それに、この痛みの後に待つのは、素敵な出会いの瞬間だ・・と思うと、笑顔になれました

長いようで短かった妊婦さん生活が終わってしまうのか・・と、少し寂しいような気もち。

 こんなに近くにいるのに、まだ顔も知らないおチビさん。やっと会えるね。

ひとつがふたつになるからこそ、向き合えるし、抱きしめあえる

離れるからこそ、相手が見える・・そんな当たり前の事を考えながら天井を見上げ・・・
同じ部屋で流産に泣いた日のことを思い出していた。 



私は、今、しあわせだな・・・
間隔の狭まってくる痛みはつらいけれど、恐怖や孤独感の全くない状態でいられました。

落ち着いていると、はっきりと陣痛の隙間がわかります。

あまりの痛みに、体に力が入りすぎると、それさえわからなくなってしまう気持ちも
よくわかりましたが・・・せっかくの痛みのとぎれた瞬間を、上手くみつけられるとまた頑張れます。

その休みは、神様がくれる休憩かもしれないですね。


物理的な痛みをさらに強くするのは、恐怖 なのかもしれないですね 

この痛みは正常なのだろうか、何か不都合なことが起きているのではないか、

子供は大丈夫だろうか、あとどれくらいつづくのだろうか・・


痛い、怖い、痛い、怖い・・・助けて!・・・と
パニックをおこし、自分を見失ってしまうのかも
しれません。

私も本来ならばそんな人間です。  それなのに何故、笑っていられたか・・・それは、

前回の苦い思いがあったから、そして、あの時聞いた婦長さんの話があったからこそ
今の自分の幸せを忘れずにいられたのかも知れないですね。


でも、あまり嬉しそうにしていたので、「その顔じゃまだまだだね」と先生。

「そうか、まだなのか」・・と思っていたら「あら、大変!」と助産師さん・・

そんなわけで、とても安産・・だったと思います。


後で「楽しそうな顔してるから、まだだと思ったけど 陣痛の波形の記録をみると
かなり痛みが強かったはずよ」
と不思議そうにしていました。。

きっと、痛みの感じ方と言うのは心の状態と関係あるのかも知れませんね。

病気や怪我で、痛みに苦しむ人がいたなら、せめて不安を和らげてあげたり
寂しさに泣くことのないように寄り添いたいですね。。楽しいな、と、心が軽くなれるように。

そうすれば、ほんの少しだけ、痛みが和らぐのかもしれませんね。


そして・・ついにわが子との対面

白いタオルに包まれた我が子を、恐々抱いたとき「巨大な湯豆腐のタオル包みだ・・・」

・・・・・・これが初対面の正直な感想。  

ドラマのように、涙がこみあげるとか、聖母様のような微笑で見つめたとかではなく・・・

巨大な湯豆腐の重みと暖かさと柔らかさに戸惑い 「お〜い、おかあさんだよ〜」
ぎこちなく声をかけた私でした。

小さな顔、小さな目、鼻、口・・ただそこにあるだけで、こんなにも愛おしいものかと、驚きました。

「かわいい・・・・・」 無意識に出た自分の声に、やっと涙があふれ愛しさがこみあげてきました。

「我が子をこの手に抱いてみたかったわね」・・あの夜の婦長さんの声が蘇りました。

今、私は我が子をこの手に抱いている。  忘れちゃいけない

今、この瞬間、もうこの子から一生分の幸せを貰ったのだ 欲張らずに感謝して育てよう・・・・

・・・・でも ・きっと、忘れるんですよね、人間だから(笑)

ページトップへ

この瞬間から、おチビさんは、私とは別の世界を持ち、別の人生を歩きはじめたのです。

私の所有物ではなく、分身でもない

だから、本当には分かり合えない他人同士なのだと、何故か思いました。

わからないからこそ、だからこそ沢山話そう。  理解できるように相手を思いやろう。

それでもきっと、理解しきれずに、寂しい思いをさせてしまうのだと言うことを覚えておこう。

親だから、何でもわかっている、などと傲慢な考えにならないように

お互いを思いやる心こそが、きっと強い糸になってくれるはず。

小さな体に一体どんな未来を背負ってやって来たのかな・・

私は、まるでトンネルだね。  ようこそ、あなたの人生の舞台へ・・

願わくば・・ママはあなたの力になれますように。