ある時、娘を連れて知り合いの家に泊まりに行った、ほんの一週間のできごとでした。


近くに緑豊かな公園があり 私は毎日 ムスメを遊ばせに行きました。

乳幼児とママが集う、楽しい時間に、私は 一週間だけ仲間入りした私は「Aちゃんママ」と呼んで
もらって、楽しんでいました。


お互いを「誰ちゃんママ」と呼び合う 独特のママの世界。


そんな中で、5才くらいの女の子を連れた、ひときわ明るいママがみんなに囲まれています。

本当におおらかなママで、よその子供たちも みんなまとめて遊ばせてくれます。
子供達はみんな その「Kちゃんママ」と遊びたくて、群がってしまうほどです。

「本当に 頭が下がるよね〜 自分の子供と遊ぶだけでも疲れるのにね。」
と・・みんな尊敬の眼差し。

おまけに、お嬢さんの優しいこと! 小さな子の面倒を見たり・・、素直で 可愛くて・・

いったいどうやったらあんな子になるのかしら・・と・・聞いてみたくなりました


最終日 Kちゃんママと 二人になる時間があったので 
「本当にいい子ですね。」と 話しかけてみたところ ・Kちゃんが チラリ とこちらを見て
にっこりと笑い、まるで 「どうぞごゆっくり、おちびさんは私が見てますから」と言っているようです。

 
「すごいね〜  やっぱりママが立派だと 違うんだね〜」 と・・脳天気な私に

あの子 かわいそう、 私に褒めて欲しいから あんなにいい子なのよ」  と ・・。

「子供はみんなそうでしょ? お母さんに褒めてもらったら嬉しいもんね」 と私

・・私・・・叩くから。  最低ママよ」  と、ポツリ。



・・・・若かった私は、彼女に何を言ってあげて良いかわからずに、ただ聞いていました。

本当に最低なの、カッとなって叩くくせに ちゃんと 顔とか 見つかるところは叩かない。
旦那は単身赴任だから、全く知らない。
  

始めは育児のイライラで つい 叩いてしまった。  みんなに知られたくなかった。
kにも、悪いことをした  とおもって もうやめよう!、と思った。

ある日 優しい気持ちがこみ上げてきて 頭を撫でようと手を上げたら・・・

・・・Kが 反射的に 目をつぶり 手で頭をかばった。

・・・殴られる・・と思ったのでしょうね・・ 

 それを見たら もう 取り返しがつかないいんだ・・と言う恐怖と 絶望
ばれる・・と言う自分勝手な思いが怒りになって・・・めちゃくちゃに叩いてしまった。

ある日 母が来て 体のあざを 見つけて、どうしたの?・・と聞いたの

・・・ あの子はどうしたと思う?

「Kね、かいだんでころんじゃったの じぶんでおちちゃって けが しちゃった〜」

と 笑いながら言って 私のほうを 見たの。

そのときの目はね 怯えてもいなくて 媚びてもないの。

「ママ だいじょうぶだからね  ママはしんぱいしなくてだいじょうぶだからね」  と

まるで 私をいたわるような目で 笑って見せたの。

かわいそうで たまらなく愛しい と思ったよ。  でも それと一緒に 腹立たしくなった

何が言いたいの? 何のつもりなの? って。

私が 最低な人間だと言う事を  あの子といる限り 思い知らされるの。

でも、 可愛くてたまらないんだよ。 本当に 可愛いのよ。

やり直したいのに・・ 一番の 生き証人が 目の前にいて  自分がやってきたことを
突きつけられてしまって  思い知らされてしまう。
  苛立って 叩いてしまう。

もう一度 まっさらな時に戻れたら いいのに。。

私は 全然立派なママなんかじゃない。 でも、みんなの前では良いママぶっているの。

嫌な人間なの。 あの子は それでも  こんな私に愛されようと 必死なの。」


・・・私は・・・彼女の言葉に 嘘は無い、と感じました。

どれほど、苦しんで来た事でしょう。  誰にも言えず 自分を責め続け、取り返しのつかない
日々に 怯えてきたことでしょう。


私が 何処の誰だかわからないから、 そして 明日にはもう来ないから ・・だから話せたのです。

公園の仲間には 言えない。 ましてやご主人が知ったら、離婚される・・と 思いつめていました。


限られた時間の中 私が言えたことは

「 同じだよ、 みんな多かれ少なかれ、イライラしたりするよ。 

もちろん、みんなが叩いている訳じゃない。 それに それぞれ暮らしが違うから 疲れ方や
 ストレスは違う。  だから、状況は違うよね。 

性格が良いから叩かない訳じゃなく、たまたま叩かないでいられる暮らしなのかも知れない

だけど、怒りをぶつけて叩くのは 絶対にいけない。 だから やめようよ。
今から やめようよ。  


5年間かけて間違えたことは、取り返すのに 2倍 もしかしたら 3倍 かかるかもしれない

Kちゃんが 20才になるまでかけて 親子の絆、とりもどすつもりはどう?

目標は ハタチになったKちゃんが「そういえば 結構ヒステリーで ぶったたかれたよね〜」

「未熟な母で ほんとにわるうございました!」 なんて 真っ直ぐに話せるような そんな親子に
なればいいじゃない。

今すぐにすべてを解決しようとしたら、焦るだけ。
でも  今始めなければ Kちゃんがハタチの時  最悪な二人になっているよ。

間に合う 間に合う ! やるか やらないか それは大きな一歩だよ

まずは 謝ろうよ。 「叩いてごめんなさい、本当は大好きなのに、ごめんね」って。

 そして、「ママは 叩くくせをやめたいの、頑張るからね。」・・って宣言して、
 それでもやってしまった時には ちゃんと謝る!


本当は だれか一人でも 信頼できる人に
「叩いてしまうことがあるけれど 今 頑張ってやり直してるんだ。
 また、昨日 危なかった・・反省してる」  なんて言えたなら・・心はずっと軽くなると想う。


頑張る姿を ともに喜んでくれる人がいたら、人は頑張れるよ。」

と言うと、うん、うん。・・・・とうなずいて、「Kがハタチの時か・・・間に合うよね きっと」

と 地面をじっと見ながら言いました。


おそらく、二度と会うことのない私だから 言えたのでしょう。
お互いの名前も、年も 仕事も  住まいも  何も知らないからこそ。


どれほど 孤独な戦いをしてきたのでしょうね。

近所のママ達に 「良いママね」 といわれる度に 「良いママなんかじゃないの」 と
心で叫んでいたのでしょうね。

人はみんな、「本当はダメな自分」を抱えて生きているのではないかな、と思います。
・・・あ・・・私だけかな・・?


私はずっと KちゃんママとKちゃんを 忘れることができません。

Kちゃんはもう・・・ハタチを過ぎています。

必ず・・・親子の絆を取り戻せたと 信じています。

ママが大好きなKちゃんの目は 真っ直ぐにママに向いていました。

そして、同じく 真っ直ぐな性格だからこそ、つまづき、そんな自分が許せなかったKちゃんママ。

Kちゃんが愛しい と言った あのことばを、真っ直ぐにKちゃんに向ければ良いだけなのだと
・・・・・そう思いました。

命ある限り やり直せないことなんかない。

時間は・・かかるかもしれないけれど。

10年は長いけれど・・何もやらずにいても 10年は経ちます。

頑張ってみたら、10年後  ・・必ず、何かが変わっているはずだから。

せっかく、親子として出会えたのだから、素直な心で 共に生きて行きたいですね。


あ〜あ・・私は 手で叩く事はなかったけれど・・ことばのパンチ目線のパンチ は
随分浴びせてしまったかな ・・・と 反省してる私です。

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憧れのママの告白

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